構造体と装飾物

釧路駅の近くにある「フィッシャーマンズワーフMOO」に行きました。毛綱毅曠設計の商業施設です。釧路市出身の代表的な建築家といえばこの人ですね。わたしもいくつか見学しましたが代表作である『反住器』がずば抜けて素晴らしいのはその通りですが、あとはちょっとピンとこないです。

この建物もそうです。商業施設としてはお世辞にも成功しているとは言えません。その最大の理由は機能性よりも装飾性や空間のイメージを優先してしまったことにあります。

スキップフロア形式になっている内部空間は迷宮性を獲得してはいますが、商業施設としてはあまりにもわかりにくい動線計画です。複雑な動線を成立させるために天井の高さが低く、それは見通しの悪さや迷宮性を生んではいるものの、空間の広がりは感じられません。低い天井では使い方も限られてしまいます。

メインとなる一階の空間は(装飾的な意味合いで)市場のイメージが強く感じられますが、外部との関連性は乏しいです。正面に面した釧路川に対して印象的なファサードを形成しつつも、出入口は極めて機能的なもので、良好な関係性は創出できていません。これはもったいないですね。

いい意味での発見もありました。併設されている温室は、地域の人々の憩いの場として使われていました。鉄骨が露出した室内空間はいかにも温室という典型的なものでしたが、その鉄骨には装飾が施されています。柱と梁の接合部にはクシ状の装飾が付加されています。それはあくまで装飾としてのもので構造的には何の意味もありません。が、わたしはこの接合部が妙に気になってしまいました。構造体と装飾物は融合することなく、不連続に、別々のものとして組み合わせられています。気になった理由はよくわかりませんが、もしかしたら「論理的な装飾」とでも言えそうな部分に違和感を感じたのかもしれません。
ryukozi
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